TBEとはTris Borate EDTAを指しており、
過去に紹介したTAE Bufferと同様に電気泳動で緩衝液として扱われているバッファーです。
TAEと異なる点としては酢酸の代わりにホウ酸(Boric acid, wikipedia)を用いていることです。
ホウ酸を用いることで、
TAEと比べると、
緩衝能が高く、
電気泳動によるpHの変化も少ないです。
参考文献によると、
短い断片のDNA(< 2000 bp)にはTBEが、
長い断片のDNA(> 2000bp)にはTAEが適しているそうです。
これはTAEがDNA断片の長さ依存的(イオン強度)に働くのことに対して、
TBEはDNA断片の構造依存的に電気泳動での移動度が規定されているためです。
よって、ときにバッファーの使い分けで得られる実験結果のクリアさがかわってくるでしょう。
一方で、ゲルからの回収率が低くなりがちであったり、
コスト面の問題から考えてもTAEのほうが安いです。
またTBEはx10になると沈殿が出やすくなるため、
TAEのように高濃度のストック溶液が作れません。
では以下に作り方を紹介します。
作製するとpHはおおよそ8.2前後になります。
[Materials]
・ホウ酸(boric acid) H3BO3 MW=61.83
・Tris(トリス塩基)
5x TBE buffer の調整 | ||
試薬もしくは溶液 | 使用量(1 L) | 最終濃度 |
Tris | 54 g | 0.445 M |
ホウ酸 | 27.5 g | 0.445 M |
0.5 M EDTA | 20 mL | 0.01 M |
[Method]]
1. 試薬を500 mlほどの水に溶かす。
2. 1 Lになるよう水でメスアップ。
3. 長期保存になることが多いのでオートクレーブをする(任意)。室温保存。
4. 実際の使用に際しては水で1倍になるよう希釈して使用する**。
**緩衝能が高いことから、アガロースゲルの電気泳動にはx0.5で使用することも可能。
関連記事
TAE緩衝液 (50 x TAE buffer, 10 xTAE buffer)
参考文献
・ | TBE バッファー, Bio Wiki | ||
・ | TAE バッファーとTBEバッファーの比較, BioWiki | ||
・ | Miura, Y. et al. TBE, or not TBE; that is the question: Beneficial usage of tris-borate for obtaining a higher resolution of small DNA fragments by agarose gel electrophoresis. 43:1 (1999), Nagoya Medical Journal |
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・ | 電気泳動するときにTAEとTBEと使い分ける理由をおしえてください, Yahoo 知恵袋 | ||
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