小説一覧

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亡びぬものを

この稿の起筆昭和ニ十二年十二月一日、終筆昭和二十二年一月十七日。白血球数三十一万に達し、全身脱力はなはだしく、意識しばしばもうろうとなるをもって、文意あるいは通じがたいところがあるかもしれないが、読者のご同情とご寛容を願いつつ。ー長崎浦上にて 後記より 亡びぬものを (アルバ文庫) 広島の原爆資料館で買いもとめた。 長崎の原爆経験者で医師である永井隆博士(wikipedia)の作品。 この方が亡くなられたのは昭和二十六年五月一日。 死期を感じつつ白血病の病床の中、書かれた自伝的私小説。 その文章に込められた気持ちは揺るぎないものだと思いました。 作者がキリシタンであるため、愛についての解釈は一貫されています。 では、生きること、それじたいにある人間としての意味はなんなのだろうか。 時間的な記憶より、永久的な価値とは。。。 永井博士は科学には永久的な価値があると書いてありました。 医師として、研究者として、ひとりの人間として死に向かい合う様は心うたれます。 今、原爆というものを知らない私達の世代に伝えるべき人の姿だと感じました。

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太陽の子

ふうちゃんは、神戸生まれの女の子。 おとうさんとおかあさんは沖縄出身で、神戸の下町で琉球料理の店「てだのふあ・おきなわ亭」を営んでいる。 やさしい常連さんたちに囲まれて明るく育ったふうちゃんだが、6年生になった頃、おとうさんが心の病気で苦しむようになる。 おとうさんの病気の原因はなんなのか? ふうちゃんは「沖縄と戦争」にその鍵があることに気付き始める。。。 あらすじより <a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4043520107/reyou1090-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/5194A4WYFFL._SL160_.jpg" alt="太陽の子 (角川文庫)" style="border: none;" /></a> 今の私たちが思い浮かべる沖縄。 沖縄の歴史をよく理解できてない多くの人は上辺だけを見ているだけかもしれません。 沖縄の平和記念公園に行ったところで、 ひめゆりの塔に行ったところで、 海軍司令部豪に行ったところで、 歴史を知らなければ、なんの意味にもならない。 教科書に書いてある戦争の年表なんてこれっぽちの意味にもならない。 そう思えた一冊。 主人公のふうちゃんは純粋で眩しい子でした。