wikipediaより転載
LB培地(Lysogeny Broth medium:wikipedia)は多くの研究に用いられている、
非常にメジャーな培地ではないでしょうか。
今回はLB培地の歴史を少し紹介し、作製方法も示します。
もともとは1951年にベルトーニ博士(G. BERTANI)によって報告された溶液です。
wikipediaによるとベルトーニ博士は当時ルリア博士(Salvador Edward Luria, wikipedia)のラボにいたそうで、
ルリア培地(Luria Broth)とかルリア ベルターニ培地(Luria-Bertani medium)などと書かれることもあるそうです。
ルリア博士は1969年にノーベル生理学・医学賞を受賞している、
ファージの研究で大変有名な博士です。
LBのLysogeny Brothとある通り、元々は溶原培地です。
当時の文献では0.1% のglucoseも入っていましたが、現在では入れる事はほとんどありません。
実にこのLB培地は半世紀以上にわたって使われ続けているのです。
目的とする細菌によっては、LB培地の組成を変える必要もあるでしょうが、
昨今の分子生物学の研究現場においては、
今回紹介するLB培地の作り方でほぼ問題ありません。
培地には生育のために必要なものがつまっており、
ペプチド(アミノ酸)やビタミン、ミネラル、微量元素が含まれております。
[Materials]
・トリプトン(trypton):カゼイン(wikipedia)の加水分解物
・酵母エキス(yeast extract, wikipedia):酵母の抽出物を乾燥して作った粉末
・塩化ナトリウム(NaCl)
・水酸化ナトリウム(NaOH)
tryptonやyeast extractにはその手前にメーカー名やブランド名が入ってることが多い。有名なのはBacto-(Difco社)など。
LB培地の調整 | |||
試薬もしくは溶液 | 使用量(200 mL) | 使用量(1000mL) | 濃度(w/v) |
tryptone | 2 g | 5 g | 1% |
yeast extract | 1 g | 2.5 g | 0.5% |
NaCl | 2 g | 5 g | 1% |
5N NaOH (もしくは2N NaOH) |
0.04 mL (0.1 mL) |
0.2 mL (0.5 mL) |
[Method]
(1000 mLを例に)
1.trypton, yeast extract, NaClを計り*、ビーカーに入れる。
2.800mlの蒸留水をゆっくりと加え、スターラーで溶けるまで混ぜる。
3. 溶けきったのを確認した後、NaOHを加えた後**、1 Lまでメスアップする。
4. メディウム瓶や三角フラスコに分注し、専用のフタもしくはアルミを二重にしてかぶせる。
5. オートクレーブ, 121℃で20分 (ビンのフタはゆるめておくように)
6. 冷めたら室温もしくは冷蔵で保存する。
*粉末は飛散しやすいので気をつけること
**基本的にpHを測る必要はない。研究者によってはNaOHによるpH調整自体を省いていることもある。これは上記の組成では緩衝能ないことに起因しており、この時点でpHを合わせても維持ができないそうである。少なくとも、組成の都合上、酸性によってしまう対策として、上記の量のNaOHを加えておけば、おおよそpH7.0前後になるはずである。始めて作製する際には念のためpH試験紙などで確認してみるのはどうだろうか。
参考文献
・ | Wikipedia contributors. “LB培地.” Wikipedia. Wikipedia, 11 Nov. 2011. Web. 23 Jun. 2012. | ||
・ | Wikipedia contributors. “Lysogeny broth.” Wikipedia, The Free Encyclopedia. Wikipedia, The Free Encyclopedia, 6 Jun. 2012. Web. 23 Jun. 2012. | ||
・ | Bertani, G. (1951). Studies on lysogenesis. I. The mode of phage liberation by lysogenic Escherichia coli. J. Bacteriol. 62:293-300. PMID 14888646 PDF | ||
・ | Wikipedia contributors. “カゼイン.” Wikipedia. Wikipedia, 3 Oct. 2011. Web. 24 Jun. 2012. | ||
・ | Wikipedia contributors. “酵母エキス.” Wikipedia. Wikipedia, 9 Oct. 2011. Web. 24 Jun. 2012. | ||
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