DMSOを用いた細胞凍結方法について紹介します。
DMSO(ジメチルスルホキシド, Dimethyl sulfoxide)を利用する方法は、
安価であり、一般的に行われている方法ではないでしょうか。
その他、使われるものとしてはグリセロールや100%の血清などが挙げられます。
DMSO・グリセロールは細胞膜を通過し、
細胞内に入り込むため、
凍結時の細胞へのダメージを減らすことができます。
血清についても凍結時に保護作用があります。
今回紹介するDMSOを用いた凍結方法でも血清を入れることを推奨しています。
無血清での細胞凍結したい場合は、
市販の無血清凍結培地を利用することをお勧めしています。
(例えばバンバンカーを利用した細胞凍結法など)
wikipediaより転載
[Materials]
・DMSO(Dimethyl sulfoxide)
細胞凍結用のDMSO(滅菌済)を使用する。その他の場合は濾過滅菌などを行う必要がある。
・通常使用している培養液
血清入り。低血清で飼っている場合には、支障がなければ凍結時のみ10%ほどにする。
・対数増殖期に入った培養細胞
増殖期が過ぎた細胞を利用すると生存率が一気に下がる
(接着細胞の事前準備)
トリプシン等を用いて細胞を剥離する。
剥離した細胞は培養液で懸濁しておく。
・保存用チューブ (2 mlが一般的)
・プログラムフリーザーもしくは凍結処理容器(バイセル(Funakoshi))
本プロトコールではどちらもない場合にも対応しているが、
細胞を起こす際の生存率を高めたければ使用を勧める
[Method]
(事前準備)
バイセル使用時は4℃にて冷やしておく 。
10%DMSOはあらかじめ培養液と混合したものを作製しておく。
1. 必要に応じてトリパンブルー染色にて生細胞の細胞数をカウントする。
2. 培養液をチューブにうつして遠心分離。DMSOが10%になるよう培養液と混合しておく。
(1mLのDMSOに9mLの培養液)
3. アスピレーターで上清を取り除く。
4. 細胞数が1mLにつき細胞数が1 x 106~2 x 106になるよう10%DMSO/培地を加える。
5. 1mLづつ保存用チューブに分注してフタを閉める。
6-1. プログラムフリーザーを用いて-80℃まで凍結。
①10~15℃の試料を2℃/minの速度で4℃まで冷却して10分待つ。
②1℃/minで-30℃まで直線的に冷却し10分待つ。
③5℃/minで-80℃まで冷却。
6-2. 凍結処理容器(バイセル等)を使用した場合
①4℃に保存していたバイセルに細胞をセット
② -80℃のフリーザーに一晩おいておく
6-3. 上記器材がない場合
①氷中で5分
②-20℃のフリーザーで50分間保存
③-80℃に12時間保存
7. -80℃で凍った細胞を取り出し、液体窒素に保存
液体窒素中では凍結保存した細胞は半永久的に持ちます。
-80℃の場合はおおよそ一年。少しずつ生存率が悪くなっていくそうです。
DMSOはHL60細胞, MEL細胞などの細胞だと分化誘導を引き起こしてしまいます。
必要に応じてグリセロールを10%になるようにして使用もできます。
本記事では10%DMSOにしていますが、
細胞種などに応じて5%~20%など幅があります。
ですが、まずは10%DMSOで検討をするのがいいでしょう。
凍結後、一度細胞を起こしてみて生存率が低ければ対策を練る必要があります。
また、生存率が低い場合は、
プログラムフリーザーやバイセルについて
検討してみるのはいかがでしょうか。
また、保存液に入れてから凍結までの動作は迅速に行ないましょう。
もしくは市販の凍結培地の利用も考えられます。
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参考文献
・ | 細胞凍結保存法(PDF), 細胞.jp | ||
・ | Wikipedia contributors. “ジメチルスルホキシド.” Wikipedia. Wikipedia, 13 Sep. 2012. Web. 21 Oct. 2012. | ||
・ | 細胞の凍結方法, CELL BANK, 理研バイオソースセンター | ||
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