論文捏造のあれこれ

論文捏造の話題が最近にわかに話題なっております。

実際は、昨年にはとっくに話題になっていたのですが、

先月末、Cellがとうとう話題に上がっていた論文をRetractしたためではないでしょうか。

Retractionとは論文の撤回を意味します。

Cellより転載

CellのRetractは表示がなかなか厳しいですね。。。

撤回された論文は消える事なく半永久的に保存されます。

この論文元は東京大学 分子細胞生物学研究所  加藤博士の研究室です。

告発サイトによりますと実に24報の論文に渡っているとのこと。

Cellだけでなくnatureを始めとする有名な論文が挙げられています。

実際に、どのようなことが行われていたかというと丁寧にもyoutubeに乗っていました。

単純に考えると24報の論文の論文があれば、24人の著者が少なくとも関与しているかもしれないということ。

いままでにない大所帯かもしれません。

ただし、現段階では当事者の側からのコメントや、ニュースなど取り上げられていない時点で断定的なことは発言できません。

ですが、HPが消えている点からも、外野の人間たちは勘ぐりたくなって致し方ないと思います。

一刻も早い何らかのアクションがあることを願います。

海外に目をやると韓国 ソウル大学の黄禹錫博士(wikipedia)の事件が有名です。

2004年 世界初体細胞由来のヒトクローン胚由来のES細胞を樹立させたという論文がScience誌に投稿され一躍有名になりました。

さらに2005年には体細胞由来の核と卵子を結合させることで、ヒトクローン胚の作製に成功したという論文をScience誌に投稿。

当時は多くの生物学者たちに驚きを与え、2005年のクローン犬の作製も相まってクローン研究の第一人者となりました。

韓国ではノーベル賞受賞の期待もあり、この研究に特別国家資金を投入するほどでした。

しかしながら卵子の提供方法や研究倫理側面の問題およびデータ捏造の疑惑が浮上。

Nature誌の卵子入手に関する疑惑を報じ、

韓国のテレビ局は卵子売買やデータ捏造に関する報道、

共同研究者が決別宣言を出す等、

紆余曲折ありながらも2006年にはソウル大学調査委員会がデータ捏造を公式に認めました。

この際の論文撤回の文面は以下のようになります。

Scienceより転載

これだけでなく、黄禹錫博士以前にはヘンドリック・シェーン(wikipedia)が有名です。

ベル研究所にてフラーレンにおける高温超伝導研究でノーベル賞間違いないと言われましたが、ほぼ全てが捏造によるものと判明しています。

彼は取得した博士号も剥奪されており、wikipediaに詳しく内容が書いてあるので是非呼んでみてください。

他にも挙げるとキリがありません。

日本国内でも科学論文捏造事例はあるのです。

理化学研究所、東京大学、京都大学、大阪大学、、、

先にも書いた通り、一度発表された論文は半永久的に残ります。

これはある意味、消えないレッテルと言ってもいいかもしれません。

それだけでなく、間違った研究はその研究分野の発展を妨げる可能性に満ちています。

実際、黄博士のES騒動の後、ESの研究は大きく足止めをくらっています。

我々は過去の教訓を忘れることなく次につなげるよう頑張って行きたいものです。

google scholarに「Stand on the shoulders of giants」とあります。

巨人の肩の上に立つ

研究活動は常に過去の研究をもとにして発展しているというものです。

もちろん間違った研究データに気づかないときもあります。

ですが、少なくとも故意に間違いを投稿することは許されないのです。

私たちのデータをもとに次の何かをしようとする人々がいるかもしれないのです。

散文になりましたが、ひとまずここでとめたいと思います。

こうした問題も体系だってまとめられるよう頑張ろうと考えています。

参考文献

 東京大学 分子細胞生物学研究所の類似画像掲載論文
 Wikipedia contributors. “黄禹錫.” Wikipedia. Wikipedia, 29 Mar. 2012. Web. 1 Apr. 2012.
 Wikipedia contributors. “ヘンドリック・シェーン.” Wikipedia. Wikipedia, 31 Aug. 2011. Web. 1 Apr. 2012.
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