RNAの回収を行った後、cDNAを作製するためのプロトコール。
今回紹介するのはSuper Script III Reverse Transcriptaseを利用した場合です。
Super Script III RTはSuper Script II RTと異なり長さにして12.3kbを超えるcDNA作製も保証しています。
さらに、複雑な二次構造のあるRNAも逆転写が可能になっています。
これはSuper Script II RTにポイントミューテーションを入れることで、50℃での半減期が伸びた為とのことです。
また、M-MLV RTのRNaseH活性を除去しているものになるため、RNaseHによる影響がなくなっています。
[Materials]
・抽出したRNA(1 ng – 2.5 µg)
・Super Script II Reverse Transcriptase(RT)
・5x First Buffer (250 mM Tri-HCl, pH8.3 at room temperature; 375 mM KCl; 15 mM MgCl2)
・ 0.1 M DTT
上記三つはSuper Script III RT 購入時にセットで入っている。
・10mM dNTP Mix
・RNase Out (40 units/µL)*
・Oligo(dt)12-18 (500µg/mL): (もしくは50-250 ng random primer か 2 pmol gene specific primer(GSP)を用いる)
*RNase Outは50 ng以下のRNAからcDNAを作製する場合は特に入れることが推奨されている
[Method]
1. 以下の溶液とRNAを混ぜ合わせて作製。
total RNA(1 ng – 5µg) | X µl |
Oligo(dt)20(50 µM) もしくは Oligo(dt)12-18 (500µg/mL)* (もしくはrandom primerかGSP) |
0.5 µl |
10 mM dNTP Mix (もしくは2.5 mM dNTP) |
0.5 µl (2 µl) |
DEPC水 | total 6 µlになるようにする |
*製品添付書には20 µlの系で200-500ngのOligo(dt)12-18と書いてあります。
2. 65℃にて5min。
3. on ice
4. 以下の溶液を作製しておき、サンプルにアプライ。
5x First-Strand Buffer | 2 µl |
0.1 M DTT | 1 µl |
RNase Out* | 0.5 µl |
Super Script III RT** | 0.5 µl |
*RNase Outを入れない場合は代わりにDEPC水を入れる
**ss-を作製する場合は代わりにDEPC水を入れる
**RNAの量が1 ng以下の場合には Super Script II RTを0.125 µl(50 unit)にする。
(5-0. random primerの場合は25℃で 5minの処理を入れる)
5. 50℃で30-60min
(GSPの場合や二次産物があるときは 55℃行う)
6. 70℃にて15min
7. cDNAの完成
8. 必要に応じて水で希釈をしておく。(例えば90 µlの水で10倍希釈しておく等)
9. -20℃にて保存
参考文献に挙げている本家のプロトコールとは異なる点がいくつかあります。
一つは溶液のボリュームを半分で行っている事です。通常RT-PCRを行う際には希釈したものをテンプレートにして十分のため、コストの面を考え半分になっています。
関連文献
・Super Script II Reverse Transcriptase を用いた逆転写反応
参考文献
・スーパースクリプト III 逆転写酵素(invitrogen )の製品添付書