マウスケラチノサイトの単離と培養のプロトコール。
マウスケラチノサイトの初代培養はヒトに比べて大変難しく、
継代を行うと細胞の増殖能の低下や形態変化が如実に現れます。
継代は50回以上可能であると書いてあるプロトコールもあれば、
継代は勧めないという書籍もあります。
かつては、非常にケラチノサイトの培養は難しく物理的な刺激でも、分化が始まってしまったりすると教わってきた時期もありましたが、近年では有用なmediumが増えてきており、そこまで神経質にならなくとも培養は可能です。
(それこそ継代を50回以上行いたいなどとなれば、よほど神経質に行う必要がでてくるでしょうが。。)
お勧めしているのはCELLnTEC社のPCT培地です。
以下に紹介するプロトコールはこちらのサイトをより簡易化したプロトコールというところでしょうか。
当方では以下のプロトコールで十分量のケラチノが回収できていましたが、
インキュベーターなど培養条件によっては同レベルの結果がでるかはわかりませんので、責任は負いかねます。
[Materials]
- PCT Epithelium Medium (#CnT-07 Cellntec)
- non- PCT Epithelium Medium (#CnT-02 Cellntec)
- TrypLE Select (invitrogen)
- Dispase
- 滅菌済みPBS(-)溶液
- 新生児のマウス(胎児でも可)
- 滅菌済みピンセットとハサミ
- 70µmセルストレーナー(日本BD)
[Method]
(day1)
- 15ml遠心tubeに10mlのPCT培地(#CnT-07)を加える。
- Dispaseを70mg測って、4mlのPCT培地で溶かす。
- 0.22μmlのfilterで滅菌して、10mlのPCT培地と合わせる(Final 5mg/ml)。
- P/S(抗生物質:コンタミ防止用)を入れたPBS(-)溶液を10cm dish三枚に入れておく。
- 新生児の首を切った後、四肢を切り落とし、首側から腹部にかけて切り込みを入れる。
- 背中側からピンセットで脱がすように皮膚を剥がす。
- 頭部も簡単に皮膚から剥がせるので剥がす。
- 作製しておいたwash用PBSに入れてwashする。
- 新しいPBSにうつす作業を二回繰り返す。ピンセットを用いて3.の培地に入れる。
- 4℃で一晩インキュベートを行う(15時間以上)。
(day2)
- PCT培地を入れた新しいペトリディッシュに皮膚細胞を移して、余分なDispaseをPCT培地でwashする。
- 皮膚組織をPCT培地に浸しながら、二組のピンセットを使って、表皮(白色・半透明)と真皮(桃色・不透明)に分離する。とても簡単。
- 50ml tubeにTrypLE Selectを5ml入れておき、表皮を漬け込んで行く。
- 37℃の恒温槽に入れて10minほどインキュベートする。
- 10min後、PCT培地を25ml加えて、25mlのピペットで懸濁を行う。
- 空の50ml tubeにセルストレーナーをセットして、懸濁液を通す。(表皮がついてつまりやすいので慎重に)
- 160xG, 5minで遠心を行う。
- 上清を捨てた後、PCT培地で懸濁を行う。
- マウス一匹あたり10cm dish一枚になるように細胞を撒く。
- 二日ごとにmediumを交換し、継代をする場合はコンフル前(80%ほどで)に行う。
(分化誘導)
coming soon…
参考文献
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・ | CELLnTEC社 マウス上皮性ケラチノサイト細胞の単離と分化誘導(フナコシ) | ||
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