PBS(-)溶液の調整

PBS(Phosphate Buffered Saline)溶液、

つまりはリン酸緩衝生理食塩水(wikipedia)についての調整です。

今回紹介するのはPBS(-)溶液で、

本来のPBS溶液からマグネシウムとカルシウムを除いたものになります。

このオリジナルのPBS溶液をPBS(+)。

細胞の洗浄などに使われるPBS溶液をPBS(-)と区別しているそうです。

今回はPBS(-)溶液のストック液の調整を示します。

[Materials]

10xPBS(-)の調整
試薬 使用量(1L) 最終濃度
NaCl 80g 1370 mM
KCl 2g 27 mM
Na2HPO4·12H2O
(Na2HPO4·7H2O)
29g
(22g)
81 mM
KH2PO4 2g 14.7 mM

[Method]

1. 上記の試薬を全て計りとって、900 mlの水に溶解する。

2. 1Lにメスアップをした後、オートクレーブをして保存する。

作製したものは実際に使う際の10倍濃い濃度になります。

使用する際には水で1倍の濃度(1x PBS)にして使用しましょう。

1倍に薄めると、本プロトコールでは、おおよそpH7.4前後になっているはずです。
(試薬の調整だけで、その辺りのpHになるはずです)

慣れないうちはpHメーターで測ってcheckをしてみてください。

あまりにpHがズレるときは試薬等を間違っていないことを確認してみましょう。

一般的な用途においてPBSのpHは7.2~7.6であれば問題ありません。

またPBS溶液は参考書や実験者によって異なっていることが多いのでご自身のラボのPBSの組成とは異なる可能性もあるはずです。

またPBS(-)溶液はオートクレーブ可でありますが、PBS(+)はオートクレーブ不可でありますので気をつけてください。

ーーーーーーーーーー

記事の変更(2012/5/16)

・guest001様よりご指摘を頂いた、PBSのpHについて

変更前:10x PBSの時点でpHを7.4に調整する
変更後:1x PBSの時点でpHが7.4付近になる(10x PBSでは調整不要)

参考文献として紹介しているバイオ調整マニュアル(2008年 第六刷)では10xPBSでpH7.4への調整が必要と記載されていましたが、その他の参考文献等と比較した結果、10x PBSでpH7.4調整すると1x PBSでpHが8付近まで上がる可能性が考えられました。よって、10x PBSの時点ではpHの調整は必要なく、1x PBSにて(必要があれば)調整することをお勧めします。

ーーーーーーーーーー

関連記事

PBS(+)溶液の調整

関連まとめ記事

試薬調整一覧

参考文献

Dulbecco, R. et al. (1954): Plaque formation and isolation of pure lines with poliomyelitis viruses. In: J. Exp. Med. vol. 99 (2), pp. 167-182. doi:10.1084/jem.99.2.167 PMID 13130792
バイオ実験イラストレイテッド〈1〉分子生物学実験の基礎 (細胞工学別冊 目で見る実験ノートシリーズ) バイオ実験イラストレイテッド〈1〉分子生物学実験の基礎 (細胞工学別冊 目で見る実験ノートシリーズ)
中山 広樹,西方 敬人秀潤社
Amazonで詳しく見る
バイオ試薬調製ポケットマニュアル―欲しい溶液・試薬がすぐつくれるデータと基本操作 バイオ試薬調製ポケットマニュアル―欲しい溶液・試薬がすぐつくれるデータと基本操作
田村 隆明羊土社
Amazonで詳しく見る
10x, 1x PBSのpH (Bio Technicalフォーラム)
スポンサーリンク
  

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする