キャリー・マリスとPCR

ノーベル化学賞の受賞者であるキャリー・マリス博士(wikipedia)の紹介をしようと思います。

マリス博士はPCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応(wikipedia))を発明した方です。

マリス博士の奇想天外な人生 (ハヤカワ文庫 NF)

上記の本は現在文庫版で売られているマリス博士の自叙伝です。もちろん表紙は本人。

この写真を見るとマリス博士がどういう人間か想像が膨らむかもしれません。

曰く、

無類の女好きでサーフィン狂、

はたまた麻薬にも手をだしたクレイジーな男。

実際、

マリス博士は4回の離婚をし、

ノーベル賞の受賞報告を聞いたときはサーフィンに興じていたり、

若いときはLSD(wikipedia)でトリップしていたそうです。

そんなマリス博士ですが、

1993年にノーベル化学賞を受賞しています。

受賞理由はもちろんPCR。

PCRを思いついたのは1983年のこと。

当時の彼女を載せてハイウェイをドライブしている時に、ひらめいたそうです。

オリゴヌクレオチドとDNAポリメラーゼを使えば、DNAの一定領域を増幅できるに違いないと。。

問題点といえば、DNAを高温で熱変性させて一本鎖にした際にDNAポリメラーゼがダメになってしまうことでした。

そこで、マリス博士は彼女とよくデートしていたイエローストーン国立公園の間欠泉を思いつきます。

間欠泉に住んでいる最近のDNAポリメラーゼなら高温下でも働くのではないかと。。。

時は流れてマリス博士が働いていたシータス社にて高熱菌からDNAポリメーラーゼを精製。

今現在でも使われているPCR法を実用化したのです。

キャリーマリスは

1987年にPCRについての初論文をMethods in Enzymologyに投稿しています。

タイトルは”Specific synthesis of DNA in vitro via a polymerase-catalyzed chain reaction.”

「PCRを用いたin vitroでの特異的なDNA合成」とでもいったところでしょうか。

後の分子生物学の世界を照らす素晴らしい技術であったのに、

Nature誌やScience誌には却下されたそうです。

実は、

マリス博士は博士課程の間に、

Nature誌に論文を投稿しています。

それも天文学。

1968年に”Cosmological Significance of Time Reversal “「時間逆転の宇宙論的な意味」というタイトルで投稿しています。

当時は生化学の博士課程の学生で、

天文学者の経験はなかったけど、天文学の本を乱読していたそうです。

アップ系のクスリも少しばかりやっていたがために、

大きな気分になって論文を投稿したとか。

学生時代の思いつきは簡単にNatureに通って、PCRの仕事は却下される。

彼は本の中でこのように述べています(文章は部分部分で抜粋しています)。

知識ある読者をほこるNature編集部が私の私見など記載する必然性など何もあろうはずもなかった。本物の賢人がいるなら私が始めて書いた宇宙の構造に関する思いつきの論文が科学雑誌に記載されることなど許されるわけもない。人が晩年の二十年ほどの間、世界を高所からながめて、これまで彼が蓄積してきた知恵を用いながら、世の中を正しい方向に導いてくれている。これはまったくの幻想だった。 

文章の中で、話の上手い科学者の考えているのはもっぱら地位や収入であるとありましたが、

残念ながら、それも否定することはできないかもしれません。

新しいMethodがこれまでの研究者の仕事を根底から覆すような話だとしたら難しいに決まっています。

一方で、論文を査読する研究者たちにとっても好意的な論文とは、

彼らにとってもプラスに働くか、

すくなくともマイナスにはならない論文であるはずです。

だからこそ論文に記載された研究の善し悪しは雑誌で判断してはいけないのでしょう。

事実、PCRの論文が出た、Methods in Enzymologyなんて一般の人はもちろん多くの人は知らない科学雑誌であると思います。

かといって、研究費をとるには良い科学雑誌に通ることだったり難しい世界です。

後の、マリス博士の面白い話はwikipediaに譲るとします。

読んでみると、マリス博士は幼少より科学少年であったことや、

いわゆる科学者の王道を歩いていないことがよくわかると思います。

気になった方は是非。

PCRの原理なんかも時間のあるときに紹介したいです。

参考文献

 Wikipedia contributors. “キャリー・マリス.” Wikipedia. Wikipedia, 13 Mar. 2012. Web. 28 Apr. 2012.
 Thermo SCIENTIFIC, Campaigns,「突撃隣の豆知識part4」[マリス博士とPCR]
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キャリー・マリス,福岡 伸一早川書房
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