200 mM グルタミン溶液の調整

細胞培養の際、培地に後から加えるのがL-グルタミン(L-Glutamine)です。

後から加えるのは、グルタミンが水溶液中だと失活しやすいためです。

-20℃であれば2年ほどですが、4℃保存ですと二週間ほどと言われています。

4℃で一ヶ月保存すると約30%が失活するとも言われています。

逆に、粉末ですと、安定で、オートクレーブにかけても問題ありません。

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グルタミン(wikipediaより転載)

グルタミンの概要についてはwikipediaで十分に述べられているので、

そちらを参照していただければと思います。

グルタミン (glutamine) はアミノ酸の一種で、2-アミノ-4-カルバモイル酪酸(2-アミノ-4-カルバモイルブタン酸)のこと。側鎖にアミドを有し、グルタミン酸のヒドロキシ基をアミノ基に置き換えた構造を持つ。酸加水分解によりグルタミン酸となる。略号は Gln あるいは Q で、2-アミノグルタルアミド酸とも呼ばれる。グルタミンとグルタミン酸の両方を示す3文字略号は Glx、1文字略号は Z である。動物では細胞外液に多い。 極性無電荷側鎖アミノ酸、中性極性側鎖アミノ酸に分類される。蛋白質構成アミノ酸のひとつ。非必須アミノ酸だが、代謝性ストレスなど異化機能の亢進により、体内での生合成量では不足する場合もあり、準必須アミノ酸として扱われる場合もある。  ーwikipediaより引用

細胞培養に用いられる培地は細胞が生きていくために必要な必須アミノ酸が添加されており、

さらに非必須アミノ酸であるグリシンやセリンが加えてあることもあります。

グルタミンは、非必須アミノ酸ではありますが、

細胞培養においては外すことのできないアミノ酸です。

培地の作製をしたことがある方は簡単に想像ができると思いますが、

粉末培地を水に溶かし、オートクレーブ滅菌をしてから使用します。

これは市販品も大抵の場合同様です。

このオートクレーブの操作を行う際に、最適化できていないアミノ酸がグルタミンであり、

後から加える必要があるのはこのためです。

では作り方を下記に示します。

[Materials]

・L-Glutamine  MW=146.15

・0.45 µm以下の滅菌フィルター

200 mM グルタミン溶液
試薬  使用量(10 mL)  最終濃度
 L-グルタミン  2.92 g  200 mM*
 超純水  100 mL

*3 gのグルタミンに100 mLの水に溶かして3%グルタミンを標準にして扱う研究室もある。

[Method]

1. L-グルタミンを100 mLの水に溶かす。

2. フィルター滅菌**を行う。

3. 15 mLのチューブなどに分注をし、ストック分は-20℃で保存。

** 市販で購入するL-グルタミンが既に滅菌済の場合は、クリーンベンチ中で滅菌水と混ぜ合わせれば、フィルター滅菌は不要である。

参考文献

Wikipedia contributors. “グルタミン.” Wikipedia. Wikipedia, 9 Mar. 2013. Web. 29 Mar. 2013..
グルタミンは不安定?, 細胞.jp
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