水飽和フェノールの調整

水飽和フェノール、酸性飽和フェノールともいいます。

以前紹介した、平衡化中性フェノール(トリスフェノール)がDNA用であるのに対して、

こちらの水飽和フェノールはRNA用になります。

フェノール自体はもともと酸性であり、

酸性条件下ではDNAがフェノール層に取り込まれてしまいます。

この性質を利用することで水飽和フェノールはRNA抽出に使われます。

フェノールそのものの歴史的な経緯などについても 平衡化中性フェノールの項に紹介していますので、

気になる方はアクセスしてみてください。


フェノールの結晶(wikipediaより転載)

[Materials]

・結晶フェノール (核酸抽出用) MW=94.11 毒物・劇物指定, 腐食性有り*

・8-ヒドロキシキノリン (8-キノリノール)  MW = 145.16

* 取り扱いは施設の取り決めに従うこと

水飽和フェノールの調整
 試薬もしくは溶液  使用量(500 g) 最終濃度
 フェノール  500 g
 8-ヒドロキシキノリン  0.5 g  0.1 %

[Method]

1. 未開封のフェノールの瓶をそのまま50℃の湯浴に入れて溶かす。溶けたら常温まで戻す。

2. フェノールが溶けたら、等量の純水を加えてフタをよく閉め、数分間シェイクする。

3. しばらく静置すると 2 層に分離する。水層(上層)は取り除けるが、フェノールが空気に触れないよう必ず若干量は残しておく。

4. 遮光して 2-8℃または-20℃で保存。

保存にあたってはガラスビンまたはポリプロピレンといった耐性のある容器の使用をしてください。

フェノールを溶かす際には65℃前後が基本です。

しかしながら、本プロトコールでは購入した瓶をそのまま使うため、

割れることがないよう念のため50℃にしております。

溶けにくい場合などは65℃に変更してみてください。

8-ヒドロキシキノリンは抗酸化作用を持っているだけでなく、

有機溶媒(フェノール)を着色させて分かり易くするために入れています。

水飽和フェノールでは省略されることも多いです。

また、平衡化中性フェノールと比べて層の分離に時間がかかります。

冷やすなどすれば分層が多少早くなります。

加える水は超純水で問題なく、

RNA用だからといってDEPC水などを使う必要はありません。

また、平衡化中性フェノールと違って酸性のままでいいためシェイクを繰り返す必要はありません。

今回のプロトコールのように大量の調整が必要ない場合は、

小さめのガラスメディウム瓶やポリプロピレンのチューブを利用するといいでしょう。

50 mLのポリプロピレンのチューブに結晶フェノールを8割ぐらい入れると大体30 gになるそうです*。

*バイオ実験イラストレイテッド〈1〉に記載

フェノールの取り扱いにあたっては、

各施設の取り決めに従って処理していただければと思います。

関連記事

・ 平衡化中性フェノールの調整

参考文献

 Wikipedia contributors. “フェノール.” Wikipedia. Wikipedia, 19 Feb. 2012. Web. 19 May. 2012.
 じっけんレシピ, SIGMA-ALDRICH
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